バンガロールの休日(昼)
昼は、一度、買い物の荷物をホテルに置いてから昼食後、出発。
スルターン宮殿(正式には、ティプー・スルターン宮殿)へ向かうため、ホテルの近くでオートリクシャを探す。今度は、客を誘うような運転手は選ばないように気をつける。オートリクシャを道に停めて、車を掃除しているオジサン運転手を発見し、行き先を告げて出発。運転手は、見た目は少し恐そうで、無口で頑固そうなオジサンだ。オートリクシャに乗ってから15分・・・。しかし、まだ、着かない。
ガイドブックには、車で10分の距離と書いてある。オートリクシャだから時間がかかっているのだろうか。どんどん田舎の方に向かっていくので、不安になる。初めての土地なので確証はないが、方向も少し違うような気もする。どこかへ連れ去られようとしているのだろうか。他のオートリクシャも若干走っているので、最悪、この車を降りて帰ることができるな、といろんなことを考えているうちに、さらに10分走り続けた。
小さな街を2つぐらい過ぎ、次の小さな街に入ったとき、オートリクシャは停車して、「ここだ」と運転手。えっ、どこに宮殿が???
そこは、その小さな街の中心部らしくバスターミナルらしき所。「宮殿に行きたいんだ」と私。運転手はエンジンを止め、私は地図やガイドブックを取り出してわかってもらえるまで説明を続ける。運転手は、片言の英語で「おまえが行きたいのは、ティプー・スルターン宮殿か」とやっとわかった様子。そして、運転手は全てわかった様子でこう言った。
「ここは、Sultan Palyaだ。おまえが行きたかったのは、ティプー・スルターン宮殿(Tipu Sultan Palace)だな。こんなに遠くへ来てしまった。なんでもっと早く言わない!」
運転手は、かなりご立腹のご様子。戻るときも、建物に地名が書いてあるのを見つけては、「Sultan Palya!」と大声言う。少なくても5回は、「Tipu Sultan Palace! Sultan Palya!」と叫ぶので、少し腹がたってきた。どうせ、私が走った分だけメーター料金で払うんだから、おまえは損しないのに。それとも、距離をかせぐために間違えたのかー。
15分かけて、やっとバンガロールの中心部に戻ってきた、これでまずは一安心。運転手は、行きはとても無口だったが、私がバンガロールをあまり知らないのを知ってからは、通りかかった有名な建物の名前を教えてくれた。そして、やっと目的のスルターン宮殿へ到着。僕と運転手は、「ベリー・ロング・ディスタンス」と言い合って、思わず笑顔。入場券を買ってスルターン宮殿の敷地に入ると、ガイドらしき爺さんが付いてきた。ガンジーを下品にしたような顔だちで、妙に肌が黒い。押しかけガイドかと思ったが、他の観光客にも誰か案内する人が付いているようなので、彼に案内を任せる。この爺さんは、看板に書いてある文章を全部読んで説明した。僕が聞き流していたら、最後のここが肝心だ、ちゃんと読めというように、なかなかうるさい。
そして、10分間ぐらい宮殿の外を巡り一通り説明を終えた後、
「20ルピーだ」
と金を要求してきた。頼んでもいないのに説明しておきながら。まったくインド人は油断できない。
「なぜ、お金がいるんだ?」と言うと、「I'm working」という答え。そりゃ、そうかもしれんけど。
言い合いをしても、私の傍から離れず落ち着いて観光ができそうもないので、金を渡して宮殿を観てまわる。
宮殿は、それほど大きくない。全て木でつくられていて、暖かい感じがする。
宮殿を出た後、待たせていたオートリクシャでブル寺院へ。
中にお坊さんらしき人がいて、私の額に白い粉を塗って花びらを頭の上に、ぱらぱらっとかけた。他の人にはそんなことをしておらず、日本人の私だけ特別なようだ。案の定、彼の目は、賽銭を要求している。そのとき、私は、高額なお札だけしか持ってなかったので、ありったけのパーサ(1ルピー=100パーサ)のコインを渡して、そそくさと立ち去った。きっと、お坊さんはガッカリしたことだろう。
ブル寺院では、あまり興味をひかれるものはなかった。唯一、巨大な雄牛像がみどころだった。オートリクシャでここからホテルに戻る。オートリクシャの運賃は、なんと150ルピー(*)になってしまった。2時間も拘束したから仕方ないけど、運転手に待ち時間分の料金もあるからと言われて、かなり料金をボラれてしまった。日本人というだけで、いろんな目にあった小旅行だった。
(*)1ルピー=約3.5円